マンションから戸建てに住み替えることは、多くの人にとって人生の大きな転機と言えます。新たな住まいを求める理由は様々ですが、家族の成長やライフスタイルの変化などがきっかけとなることが多いでしょう。
ただし、マンションを売却し戸建てを購入する際は、いくつかの流れを把握しておくことが大切で、メリット・デメリットについても事前に確認しておく必要があります。
とはいえ、資産の売却から新しい戸建ての購入に至るまで、何をどう進めていくべきか分からず、迷ってしまう方も多いでしょう。
そこでこの記事では、現在のマンションを売却して戸建てを購入するまでの一連の流れについて詳しく解説していきます。メリットとデメリット、住み替えの注意点なども知ることができますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
マンションを売却して戸建てを購入するまでの流れ

マンションを売却して戸建てを購入する際には、「売り先行」と「買い先行」の2つの方法があります。各方法には、メリット・デメリットが存在するため、個々の状況や優先事項によって最適な方を選びましょう。
売り先行
1. マンションの売却準備
まず、現在のマンションの市場価値を調べ、売却価格を決定します。
不動産会社に依頼して査定を受け、その後、物件の状態を整えるために必要な修繕や掃除を行い、購入希望者が見込みやすい状態にします。売却に向けた書類や手続きの準備を進めておくことが大切です。
2. マンションの売却
不動産会社と媒介契約を締結し、販売活動を開始します。
売却するためには、物件の宣伝を行い、購入希望者との内覧や交渉を進めます。条件に合った買い手が見つかるまで待ち、交渉が整い次第、売買契約を締結します。売却価格に満足できるかを慎重に確認し、手続きへ進みましょう。
3. 新居の購入準備
マンションが売却できた後、その資金を元に戸建ての購入を進めます。
売却金額が確定しているため、希望する戸建ての予算内で物件を探すことができます。希望するエリア・間取り・設備などの条件を考慮し、最適な物件を見つけましょう。
4. 新居への引越し
購入契約が成立したら、引越しの準備を進めます。売却と購入のタイミングが合うようにスケジュールを組み、引越し日を調整します。また、売却と購入の手続きが重なる場合、仮住まいを検討するケースもありますが、スムーズに新居に移住できるよう手順を整理しておくことが大切です。
買い先行
1. 新居の購入準備
まずは、予算に合った物件を探し始めます。希望するエリアや間取りをもとに、不動産会社を活用して物件を選定します。
2. 新居の購入
購入したい物件が見つかれば、売主と交渉を行った後、購入契約を締結します。この時点では、既存のマンションの売却資金が確定していないため、自己資金やローンを使って支払いを行う計画を立てます。新居購入後にマンションの売却を行うため、売却資金が手に入るタイミングを慎重に検討しましょう。
3. マンションの売却準備
新居を購入し引越しが完了した後、現在のマンションを売却するために不動産会社と媒介契約を締結し、売却活動を開始します。売却活動では、物件の状態や価格を市場に合わせて調整し、購入希望者を募集します。売却が決まるまで、新居に住みながら物件を見せることができます。
4. マンションの売却
準備が整ったら、本格的に売却活動を開始します。購入希望者との交渉を経て売買契約を締結し、決済と引き渡しまで進みます。売却資金は、新居の購入にかかった費用の一部返済や、住宅ローンの繰上げ返済などにあてることが可能です。ただし、売却価格が当初の想定より下回る場合は資金計画の見直しが必要になるため、資金計画を念入りに立てておく必要があります。
マンションから戸建てに住み替えるメリット・デメリットとは?

マンションから戸建てへ住み替える場合には、「売り先行」と「買い先行」の2つの方法がありますが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。どちらも事前に把握した上で、あなたにとって最適な方を選ぶようにしましょう。
売り先行のメリット
1. 資金計画が立てやすい
現在のマンションを先に売却することで、手元に残るお金が明確になります。これにより、新居の購入予算を正確に設定でき、無理のない資金計画を立てることが可能です。
2. 二重ローンを回避できる
マンションの住宅ローンが残っている場合、マンションの売却資金でローンを返済する必要があるため、結果的に旧居と新居のローンが重複するリスクを避けられます。
3. 売却価格に応じた新居が選べる
売却価格が確定しているため、その資金をもとに新居を選ぶことができます。これにより大幅な予算オーバーの心配がなく、安心して物件が探しができます。
買い先行のメリット
1. 新居をじっくり探せる
先に新居を購入するため、じっくりと時間をかけて理想の物件を探すことができます。妥協せずに希望条件に見合った新居を見つけることが可能です。
2. 仮住まいが不要
新居購入後に引越しを行い、その後マンションを売却するため、仮住まいを用意する必要がありません。これにより一度の引っ越しで済み、費用と手間を削減できます。
3. 空き家の状態で売却活動ができる
売却活動前に引越しが完了し旧居は空き家となるため、購入希望者はじっくりと内覧ができるため、売却がスムーズに進む可能性があります。また、売主側も内覧対応の手間が軽減されます。
売り先行のデメリット
1. 仮住まいが必要
マンションの売却後の新居が見つかるまでの間は、一時的な仮住まいが必要になります。これにより引越しの回数が増え、手間や費用が増加してしまいます。
2. 居住中の内覧対応
居住中に売却活動を行うため、購入希望者が現れるたびに内覧対応する必要があり、日常生活に支障をきたす可能性があるでしょう。
3. 新居をすぐに購入できない
マンションの売却後に新居を購入するため、事前に条件に合った新居が見つかったとしても、すぐに購入することができません。
買い先行のデメリット
1. 二重ローンになる
マンションのローンを完済していない場合は、旧居が売却できるまでの間、二重にローンを支払う必要があります。一時的に経済的な負担が大きく増加するため、注意が必要です。
2. 資金計画が確実ではない
旧居の売却価格が未確定の状態で新居を購入するため、予想より低い価格でしか売却できなかった場合、資金計画に狂いが生じる可能性があります。
3. 売却のプレッシャー
新居購入後、旧居のローンを早急に返済しなければ経済的な負担が増加するため、なるべく早く売却しなければいけないプレッシャーが生じ、希望価格での売却が難しくなる可能性があります。
マンションから戸建てに住み替えた際の注意点

マンションから戸建てへの住み替えを検討する際には、いくつか注意しておかなければいけないことがあります。以下では、特に大切な3点を詳しく説明します。
1. 土地の特性を事前に確認する
戸建て住宅の購入において、土地の特性は住環境や安全性に直結します。まずは、地盤の強度を確認しましょう。地盤が弱いと地震時の液状化現象や不同沈下のリスクが高まります。 過去の地盤調査結果や自治体が提供するハザードマップを参照し、必要に応じて専門家による地盤調査を依頼することが大切です。また、将来的な土地利用計画や開発計画がないかを調べることで、安心して暮らせる住環境を確保できます。
2. 近隣関係や生活環境が変わる
マンションから戸建てへの住み替えでは、近隣関係や生活環境が大きく変化します。マンションでは管理組合が共用部分の維持管理を行うため、セキュリティ面でも安心感がありますが、戸建てではこれらを自己管理しなくてはいけません。また、近隣住民との距離感も変わり、地域の自治会活動やゴミ出しのルールなど、地域特有の習慣やルールに適応する必要があります。
3. マンションが売れない可能性
住み替えを検討する際、現在のマンションが希望通りの価格やタイミングで売却できない可能性も考慮しておきましょう。売却価格は、市場の動向や物件の状態、立地条件などが影響します。売却が長引くと、新居の購入や新居のローン返済に支障をきたす可能性があります。そのため「買取保証付き」の売却など、確実に売却できるような計画を念入りに立てる必要があります。
まとめ
この記事では、現在のマンションを売却して戸建てを購入するまでの一連の流れについて解説してきました。
マンションから戸建てへの住み替えには、先にマンションを売却してから新居を購入する「売り先行」と、先に新居を購入してからマンションを売却する「買い先行」の2つの進め方があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
売り先行は、資金計画が立てやすく、二重ローンを避けられる一方、仮住まいが必要であったり、居住中の内覧対応が負担になることもあります。買い先行は、理想の物件をじっくり探せて、仮住まいも不要ですが、二重ローンの発生や資金計画の不明確さなどが伴います。
戸建てへ住み替える際は、「土地の安全性の確認」「近隣や生活環境の変化」「マンションが売れないリスク」これらに十分注意しておきましょう。